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松本太郎のブログです。 尺八の魅力を、多くの方にお伝えしたいと思っております。
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橋本治のノベライズしたラジオ番組、笛吹童子の本を読んだ。98年の版。
思想家として私淑していた橋本先生がこの物語に強い思い入れを持ち、素晴らしい美文に仕立て上げられていたことは不勉強で知らなかった。
この名著から私が勝手に汲みとったメッセージは芸術は非暴力を貫く為の必死の闘いであり、人の心を平和に向かわせるものであると言う事だった。
口で言えば簡単でやるとなると難しいこの問題に対しての具体的なメソッドも本の中で提示されている。
いつもながら橋本先生は本当に親切だ。
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私の師匠の師匠の師匠である福田蘭童先生の父君、天才画家青木繁の大回顧展が催されている京都国立美術館へ行ってきた。
”わだつみのいろこの宮”や”海の幸”など、すべての代表作を一度に見ることが出来る最初の、もしかしたら最後になるかもしれない機会である。美術館の英断に感謝。

蘭童先生の作曲に大きな影響を与えたであろうインスピレーションに触れたくて、前日からドキドキして出かけた。
普段こんな事は決してしないのだが、絵を見る前に心を落ち着けるため喫茶スペースでお茶を飲んだ。青木様へのお供えとしてビールも頼んだ。合掌したかったが、オープンカフェでビールグラスに手を合わせているおっさんの図はサイケデリック過ぎると判断してやめておいた。

作品に対して愛のある、美しい展示であったと思う。
一番前、入口を入ってすぐに大作”わだつみのいろこの宮”が、ぼうっとした薄明かりの中に掲げてあり、これにはやられた、と思った。
青木様は経済的に大変貧しかった。あまりの貧窮のためか、大きな作品はとても少ない。雇われ仕事の地方名士の肖像画などは数多いが、やっぱり魂が入っていない。恋人である福田たねを描いた”女の顔”と比べると、とても同じ作家とは思えない。

一周してみて、本当にしんどい、難儀な人生を生きられたのだと万感胸にせまった。
伝記もそう伝えているのだが、年代を追って絵を見るだけで、だれにでも解る。

そして作家の代名詞である”海の幸”。
言葉は悪いが、真っ先に”馬鹿力”と浮かんだ。
命が天に向かってまっすぐに屹立している。
どう見てもふつうではない魔力が有る。
そして不吉なものも感じた。
たいして勉強もしていないので口はばったいが、これに匹敵する魔力はゴッホの糸杉ぐらいしか感じない。
多分、人間が使ってはいけない類いの力なのではないだろうか。
思えばゴッホもたいそう難儀な人生を生きた人であった。

感動した。けど何かとても悲しい気持ちになって美術館を後にした。

私の師匠である石川利光師の先生、横山勝也師は古典本曲を海童道祖に、尺八による洋楽を福田蘭童師に習い、その2つの柱が私達、石川門下の中心的なものになっている。

横山師によれば海童道祖と福田蘭童は両者共、尺八界の異端でありながら全く相入れない世界観、音楽観を持ち、一方の教室においては、一方の名前さえ口に出来ない空気があり、大変であったと記されていた。
本当にどれだけ大変だったろうと思う。
自分の先生の所には、もう一人の先生の敵がいるのだ。

今、私達は古典も現代曲も何の気なしにやっているが、その土台を作ってくれた大先生の恩を最近つとに感じる。
当麻寺の尺八演奏家、ジョシュ.スミスさんがアメリカへ帰ってしまう為、彼の門人さんを一人紹介してもらったが、新しく来たその女性からショッキングな話を聞いた。
HP上の私の写真が恐いので、来るか来まいか随分迷ったそうな。

思わず鏡を見たら、やっぱり夜道で出くわしたくない顔つきではある。
そげた頬に落ち窪んだ鋭い目。
北斗の拳で言えば、私は山のフドウになりたいのだが、見かけはオノとボウガンを持って罪のないじいさんを追い回している、モヒカン刈りの人である。
多分、石川遼みたいな顔がHPにのっておれば、女性の生徒さんが殺到するのであろうが、私は天の不公平を呪う事は随分昔にやめている。

飛ぶものは飛び、泳ぐものは泳ぎ、這うものは這う。私の正直な心を竹に託すまでだ。

しかし、せめて笑った写真も一枚くらい撮ろうかと、考え中。
尺八教室のメンバーが少し増えてきたので、初めて門人達との新年会を開きました。集まって下さった皆様、有難うございました。とても楽しかったです。
来年は公開の発表会を開けるよう、がんばってレベルを上げてゆきましょう!
2011年になりました。修業に追われて、このブログもほったらかしになっていました。数少ないとは思いますが、読んで下さっていた皆様、すみません。
ひとつお約束します。私はブログの為にどうでもよい事を書く事はしません。どうしても書きたい事だけを書きます。

年末はプロ演奏家になって初めて、大晦日の夜の予定が空いた。年越しそばが美味しかった。3人の娘と過ごす、初めての大晦日だった。

元旦、書初めをした。”花情竹性”と書いた。今年の私のテーマである。
花のように優しく、竹のように強くまっすぐに、しなやかに。
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